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空舞う妖精

文才の無いヒトが書いたダメ文章倉庫です。ちなみに書き途中で放棄されたものが殆ど。連載中は日記サイト。管理人の日記はリンクよりどうぞ。

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00「プロローグ」

統合軍のジープが民間の車に混じって走っている。

じかもジープだけではなく、道幅ギリギリで装甲車や戦車までもが通っている。

歩道に乗り上げる軍用車に多少迷惑そうな顔を向けるが、すぐにいつも通りの顔に戻る民間人。

それはなぜかといえば、その風景はもう有り触れているからだ。

もっと酷いところ――紛争地帯や要塞化の進められている都市のことだが――は民間車は通行禁止であったり、自家用車で都市に入る事を禁じられていたりするらしい。

そんなわけで、ここは比較的平和な土地なのだ。

メサイア攻防戦後、7年の月日があっという間に過ぎた。

ザフトに戻ったラクス・クラインは”歌姫の騎士団”と呼ばれる近衛部隊――何故か親衛隊とも呼ばれる――を組織し、それだけでなくプラント議長となり、世界平和への道を示した。

カガリ・ユラ・アスハやメイリン・ホーク、アスラン・ザラはオーブの政治組織を見直し、世界各国を纏めた。

そして、彼らオーブ連合首長国が提唱したのは”世界統合軍”という機構の設立。

一月も経たずにそれは発足した。

世界は安定に向かっていった。


<では、ソラ・コウヅキさん、現在統合軍が全力で開発を進めているAIは何でしょう>

ふと顔を上げると、目前に映る女性の姿をとったプログラムが笑っていた。

「えっと・・・・、生物学的AIで、ティーチャはその最新鋭AIの1つなんですよね」

過去ログを慌てて展開して少女は答える。

すると女性のテクスチャは一瞬だけ眉を顰めてしまった。

<正確に言えば私は生物学的AIと機械学的AIのハイブリットです>

「う・・・」

<ま、答えはあっているので減点はしませんから、以後授業に集中するように。
 本日の補習授業は終了です>

すると女性のテクスチャはすぐに消滅してしまった。

少女こと上月空は溜息をついて頭についている”ターミナルデバイス”と首に巻きついた”ブレイン・リング”を外す。

戦後7年で何故これだけ技術力が上がったのだろう、と空は疑問に思いながら席を立つ。

ここはオーブの中にある常盤学園通常高等部甚大高等学校MS・電子工学部だ。

管理コンピュータ”ティーチャ”は最新鋭で、機材も何もかもが最新鋭で、金持ち学校で、エリート高である。

授業は殆ど管理コンピュータが行っており、人間の教員は殆ど用務員と化していたりする。

空は目の前の空間モニタに流れる映像を停止させて、溜息をついた。

世界の英雄様は補修なんてなかったんだろうなあ、と。

「空、今日ジャッジメントのミーティングでしょ、急ぎなよ」

隣のクラスメイトが話しかけてきた。

ジャッジメントとは風紀委員のことで、簡易警察とも呼ばれる。

常盤学園のような大人の少ない学園都市だと、治安維持を行っているのはジャッジメントと対策室、管理局の三つの組織だ。

その構成員も殆どが学生。

そのため戦力は殆ど無いと言われるが――実を言うとMSをも所有していたりする。

「そうだった・・・うぅ、お腹すいたよぉ」

涙目になって答えつつ空は鞄と愛剣を手に取り立ち上がる。

ジャッジメントや対策室といった治安維持組織に属する者は、それぞれ扱いやすい武器を持ち歩いている。

空の場合は代々剣術を主としていたため、剣である。

ただ、親や姉は皆刀だ。

何故彼女だけが剣なのかというと、いまだに自分の愛刀が買えないため、貸し出しのあるそれにしただけの事だった。

「がんばってね、空」

「うん、じゃ」

手を振って早足気味に教室を去る空。

風に靡く黒髪が輝いた。



頬を流れる風が気持ちよかった。

現実と夢の狭間で青年が草原に寝転がってまどろんでいると、軍用機が空を飛んでいった。

あれは――MSの輸送用だ。彼は苦笑する。

軍を抜けて7年経つというのに、いまだに軍との縁が切れてないんだな、と。

まぁ、それもそうか、今のおれは傭兵だ。

そう思いながら目を閉ざすと、また意識が夢の世界へと堕ち始めた。

<飛鳥真、そろそろ作戦開始時刻。速やかに所定ポイント・ゴル――>

「へいへい、わかってるよ、サラマンダー」

シンは五月蝿げに手振りを加えて言葉をさえぎった。

<そうか>

気分を害した風も無く、何処からか聞こえた声は沈黙した。

さてと、仕事の時間だ。

シン・アスカは立ち上がる。

程よい具合に乾燥した草を踏みつけ、歩き出す。

路上に出ると、地球連合軍のペイントが施された型落ちの装甲車が目の前を通過していく。

地球連合軍か、懐かしいな。

シンはそう思いながら路上を歩き始める。

寂れたスラム街だ。

数ヶ月前の新聞が風にされるがままに流され、得体の知れない瓶が転がり、だれだかわからない骨が転がっている。

黒衣のシンはそれを一瞥しただけで早足に通り過ぎる。

伸びきった黒髪がスラム街を流れる湿った風に揺らされる。

交差点にでると、1人の少女がしかめっ面でシンを待っていた。

「遅いぞ、飛鳥中尉」

「そりゃすまなかったな、大尉殿」

ぶっきら棒に答え車のナビシートに座る。

少女は不機嫌そうに肩をすくめて運転席に腰掛けた。

「神宮寺大尉ぃ、プレゼントの配布完了したそうですぅ」

後ろに座る、小学校の制服を着た少女がターミナルデバイスの操作をしながら言ってくる。

ちいさな頭に取り付けられた無骨で大きな軍用ターミナルデバイスは、多少離れた位置から見ると黒いリボンに見えることだろう。

「芹那・・・じゃなくて、水無月少尉?」

「何?シン兄・・・じゃなくて、飛鳥中尉」

シンと後ろに座る小学生――水無月芹那少尉は眉を顰めた。

階級で名を呼ぶことに慣れていないためだ。

「ハッキング仕掛けて、バレてないよな?」

「もちろん、私はハッキングとサポートだけなら最強さ!」

シンは振り返って不安げに問う。

すると芹那はキーから腕を引き離し、大げさに手を広げてみせた。

ま、確かにコイツは失敗しないよな。

ハッキング・サポートに関しては凄腕《ホットドガー》と呼べるほどの腕前で、銃の扱いも美味い。

ただ、まだ成長過程にあるため才能は未知数だ。

ちなみに現在は小隊指揮官になるべく勉強中であったりする。

シンは鼻で笑って姿勢を戻す。

「いくぞ」

隣に座る神宮寺秋穂大尉はシンを一瞥してそう告げる。

そしてタイヤが地面をこすり付けて白い煙を生み出し、車が急発進した。

「んがっ!」

「にゃあっ!?」

シンと芹那はシートにぐいと押さえつけられ、驚きの声を上げた。

神宮寺大尉はブレーキとアクセルを同時に踏み込み、ハンドルをぐいと回す。

今度は身体が左側に押し付けられる。

芹那は転がって頭をぶつ。

「ったぁ・・・」

転がり落ちた端末を蹴飛ばしながら芹那がぼやいた。

シンは汚くて冷たいガラスとキスをしていた。

神宮寺大尉はそれをチラリと見やると、口元をぐにゃりと歪ませた。

それを見た芹那はぞくりと背中を振るわせた。

やがて車は街の大通りに出る。

ナビゲーションの地名には”常盤学園都市”とあった。

「学園都市だって?」

「ああ。このあたりは学園都市が沢山あるぞ。
 シンは初めてだったけか」

「はい、一応はおれが育った国ですが」

「そうか。
 ではジャッジメント、管理局、対策室の説明をしたほうがいいか」

大尉が笑いながら言う。

シンはクエスチョンマークを頭上に浮かべて首を傾げる。

すると後ろで転がっていた芹那はぬるりと身を起こしながら言った。

「どれも治安維持のための組織だよ。
 構成員は学園都市なだけあって、殆どが学生。拳銃や剣を携帯しているよ」

「武装しているのはジャッジメント、すなわち風紀委員だ。
 学生データの管理・照合や犯人調査を行うのは管理局。
 それを未然に防ぐべくいろいろと奮闘しているのが対策室。
 ま、一応は管理局も対策室も武器を持ってるけど、ジャッジメントはMSとかも持っているな」

ハンドルを楽しげに握り締めながら神宮寺大尉は芹那の言葉を引き継いだ。

「学生がMSを?」

「ああ。学園都市なだけあって、治安が意外と悪いんだよ。
 んで、テロリストの襲撃にあったのも数知れず。
 だから、学生ながらにMSという兵器を戦力として保有しているんだ」

「ま、ここ12学園都市・・・つまりは常盤学園の事なんだけどね、意外と治安はいいんだよね。
 私も幼少時代は隣の褒章学園だったし、ここには良く来たんだけど、ほんと平和そのもの。エリートばっかりだし」

芹那はそういうとくすくすと笑った。

シンは溜息をつく、大尉は微笑を見せながらハンドルを切る。

「んがぁっ!!?」

シンは再び汚いガラスとキスをする、

「で、仕事の確認はしなくていいんですか?神宮寺大尉殿?」

後ろで端末を拾い上げながら芹那は声を上げる。

どうやら端末は無事だったらしい。

一体この人の運転でどれだけの備品があの世行きになったのだろうかとシンは考えるが、すぐにそんな事を頭から追い出す。

「そうだな。では確認しよう。
 現在は下準備が完了した状態に過ぎないというのは既に分かっているな。
 芹那と”椿”が学園都市のメインサーバにハッキング。
 警戒網を弱体化させる。ちなみに現在この学園都市ではジャッジメントは会議、管理局は新入生データの作成を行っているため、ほぼ戦力的には問題なし。
 問題、といえば対策室だが、対策室もたいした武装はしていないのでこれも無視して構わん。
 ・・・で、次の段階は我々強襲班が学園都市生徒会塔を襲う。ただし、ドンパチはなるべく無しだ。
 で、今回の作戦目標はこの学園都市に潜り込んだテロリストの入園を手引きした生徒会顧問の教師、アレクサ・ヴィランスを誘拐、無理だったら殺害する事。
 彼女を誘拐できたら速やかに回収ヘリ<グロップ・セカンド>に搭乗。これにMSが装備されている、一機だけな」

「一機だけ・・・そーいやその一機には誰が乗るんです?」

シンが手を小さく上げる。

すると、汚い微笑が神宮寺大尉の顔に浮かんだ。

まるで生徒が教師の教えたとおりの式で答えを出し、満足気な教師の顔だ。

「状況によるが・・・最有力は、飛鳥中尉、お前だ。
 ついでに言っていなかったが複座だ。後席は私が乗ることになるだろう。
 ・・・だがな、中尉。MSはあくまで保険だ。
 先も言ったが、ドンパチは無しが方針だ。忘れるなよ。
 で、そのままOBS(オゾン・バリア・スクリーン)を使用し離脱。トゥアハー・デ・ダナーンに帰投する。
 作戦は以上だ。ほかに質問はあるか?ただし、個人的なものはなしだぞ」

「「ありませーん」」

即答するシンと芹那であった。



「・・・ヒマ」

頬杖をついて空はぼやいた。

前の演壇で延々と予算編成について説明しているジャッジメント会計生徒のことをちらりと見やり、溜息をつく。

頭上に設置されている時計を見やると、すでに30分以上こうして会計担当は喋っているらしい。

「ヒマだ・・・サボった方が正解だったか」

「確かにそうですね」

空の呟きに同意する隣の席の少女。

栗色の腰まで届いた髪が魅力的な少女だ。







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