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空舞う妖精

文才の無いヒトが書いたダメ文章倉庫です。ちなみに書き途中で放棄されたものが殆ど。連載中は日記サイト。管理人の日記はリンクよりどうぞ。

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戦闘妖精・雪風 白い嵐 1話「嵐の”名前”」 

「はぁ。」

先ほどの交戦から戻り、フェアリィ基地の滑走路でキャノピを開け、ヘルメットを取りながらリゾーナは溜息をついた。

これでリミッタをつけているのだから、無人化したら相当強いものなのだろう、とリゾーナは思いながら空を仰いだ。

「いつまでそこにいる気?」

長い、プラチナ・ブロンドの髪。

リゾーナの上官、アリシア・グラシア少佐だった。

「いつの間に、ラダーを上がってきたのね。」

「警戒心が足りないわよ、リゾーナ。」

そう言いながら少佐は手元のアラナイザと機体が示すデータを照らし合わせる。

少佐の息が、生暖かく感じられるほどの距離。

オール・コーションライト‐クリア。

その他を調べ、機体とアラナイザのキーを交互に打ったあと、少佐はリゾーナから離れる。

プラチナ・ブロンドの髪がリゾーナに触れる。

――なんて、柔らかい髪なのだろう・・・。

そんな事を思いながら太ももの上においてあるヘルメットに目線を落とす。

『だめだ、振り切れ――。』

『ブレイク、左だ、回避しろ、デルタ-6――。』

『くそ、6が食われた!』

頭の中に、先の先頭がビジョンとして思い浮かべられる。

今日は、妖精が3機、失われた。

――彼らは、どんな未来を思っていたのだろう・・・。

無念。

自分が、ちゃんとファーンたちを支えてられれば、彼らは生還できたのかもしれない。

それを思うとリゾーナの気分が、ど~んと重くなる。

いつも、いつも。

自分が、新しい機体に、テスト中の新型機に乗って、生還した後、いつも思う。

無念。失望。恐怖。

戦闘中はこの言葉が頭にこびりついて離れない。

恐いから、戦う。

死なないように、壊れないように。

なんて未熟な戦士なんだろうと、我ながら笑いたくなる。

「―――尉、中尉、フォン・アルベルフ中尉。」

「・・・え?あ、何?テスタロッサ少尉。」

「いつまでコクピットに?」

「うん、・・・ちょっと、考え事。帰ってきた後はいつもこうなの・・・。」

「そうですか・・・気分を害してしまいましたか?それなら、すみません、中尉。」

「いいのよ・・・。別に。」

「なら、自分はコレで。」

そう言うとテスタロッサ少尉はラダーを降りる。

アッシュ・ブロンドの髪が風に揺れて光る。

この機体と同じ、銀色・・・いや、白い色が、去っていく。

白――ふと、リゾーナは思考をやめた。

「・・・白い、嵐・・・。白嵐・・・。」

そう、呟いてみた。

返事は無い。

リゾーナは苦笑する。

なんて馬鹿なことを考えたのだろう、と。

溜息をつき、ラダーを降りる。

誰も見ていなかったが、”嵐”はこう表示していた。

<Lieutenant honored to give name. >
  

 *


フェアリィ基地の端っこで、ビオラの音色が聞こえる。

とても、悲しい、音色。

引き続ける彼女もとても悲しそうな瞳をしている。

テスタロッサ少尉は自分のクラリネットを見て、思った。

――自分と同じ、なのかな・・・?

悲しみを嘆くように、時には、怒りをぶちまけるように。

少尉はクラリネットを構え、吹いた。

”セレブレイト”。

セレブレイトの中間部。

一回聞くと悲しく聞こえるが、よく聞くと、希望を持った曲調だと思う。

少尉はこの曲が好きだった。

ビオラを弾く彼女の手が止まり、少尉を見る。

少尉は気付かない、とでも言うように、優しく吹き続ける。

やがて、曲が終わり、少尉はクラリネットを下ろす。

「貴方も来るのね。」

「はい、私で悪かったですね、アルベルフ中尉。」

「いえ、というか他人行儀なのは何故なの?」

弓を下ろしてリゾーナが言った。

「上官ですから」

「上官でも、相棒よ?他人行儀はダメ。OK?」

いたずらな笑みを浮かべながらリゾーナは言った。

「命令ですか?」

「命令しなきゃダメ?」

「い、いえ、ですけど・・・」

「ここは地球の軍と違うんだから、もっと楽にしてなさい。じゃないと精神崩壊するわよ?」

「は、・・・?」

テスタロッサ中尉はクラリネットのリードをぱちぱち叩きながら疑問符を出した。

「だから、為口でいいってんの?わかった?」

「あ、は、はっ!・・・じゃなくて、わかった」

軍人行儀が抜けないテスタロッサ中尉改めニーナは休めの姿勢のままだった。


 *


「スーパーシルフ、ろくなテストもしてないのに、もう受け渡し?」

「ええ」

グラシア少佐は書類に目を通しながら気の無い返事をする。

「もう愛機交換なんだ、ルティス」

「ええ」

「次の機体は?」

「”ケリュケイオン・アサルト”よ、ケリュケイオンの進化型」

グラシア少佐は書類に目を通しながら相変わらず気の無いような話方だが、内心、複雑だった。

ケリュケイオンは、リゾーナが好んで二年以上乗ってきた機体だ。

それの、発展型だから、彼女もきっと乗りたいのだろうと思ったから。

「そっか・・・ケリュケイオンがアップデートされたんだ・・・でも、アサルトって、どこぞの突撃馬鹿のコール名みたいね」

そういう彼女は最初は憂鬱げだったが、言っているうちに表情が明るくなっていた。

「突撃馬鹿・・・ね。女性ばっかのこの部隊で、突撃馬鹿ってやっぱりあいつかしら?」

グラシア少佐はリゾーナの発言に少々驚きながら笑いをこらえて言った。

「ヘレンのこと?」

「そう」

ヘレン・ヴァリエール少尉といえば、この部隊の破壊魔として有名だ。

ちなみにこのオフィスの扉がへこんでいたりするのは、ヘレンが蹴っ飛ばした名残である。

「いつまでたっても昇進できないのは、あちこちのものを壊してるからね」

笑いをこらえながらリゾーナは言う。

ちなみにヘレンの担当機はファーン・ザ・セカンドという”ファーン”のアップデートタイプである。

「さて、まぁ、話がわき道それたけど、一緒に特殊戦へ来てくれない?」

「え、なんでまた死神のところにさ?」

「あんたも、シルフ発展タイプのパイロットでしょう」

「まだ1回しか出撃してないよ」

「これから出撃よ。明日からフライトの任務でごった返しだから」

グラシア少佐は不適な笑みを浮かべる。

ソレを見て身震いするリゾーナ。

「・・・ったく、わかった、だからその笑みやめて」

「え?」

「だからその笑いやめてってば」

グラシア少佐は不敵な笑みを浮かべたまま書類を読んでいた。





「スーパーシルフが音速超えたってさ。コンピュータの予測じゃこえないって話だったけどね」

「はぁ、そうですかぁ、どっちが早いんでしょうかねぇ~」

ニーナはわざと口調を砕けた敬語にして喋っていた。

「・・・ねぇ、ニーナ?」

「はい?」

前席に座っているリゾーナは少々眉を顰めていた。

ルームミラー越しに見える彼女の顔は、怒っていた。

「なんでそんな口調なのかしら、なんかうらみでもアル?」

「・・・ない、ない。あったらまず殴ってる」

D6、パーソナルネーム”白嵐”の機上でニーナはキーを打ちながら言う。

「あら、何気に結構恐い子ね」

「・・・すみません、フェアリィに来た罪状は”上官への暴行”だ」

「ぷっ・・・恐い恐い」

リゾーナは噴出してわざとらしく言った。

「そうか?酒臭くてタバコ臭くて、おまけにセクハラしてくる上官だぞ?暴行しても支障はない・・・というか除隊はともかくよく降格しなかったな、と感心するがな」

「あら、まったく、すごい上官ね」

「その上官は、私に殴られた後、私やその他の隊員への暴行やセクハラが発覚、やっとこさ除隊になったそうな」

ニーナはそう言うと苦い顔をして「また会ったら殴ってやる」と付け加える。

「おお、恐い恐い。それで、明日は朝早いわよ?」

「ああ、わかってる、そろそろ引き上げるとするつもりだが?」

「私も、じゃあ、また明日」

そう言うとリゾーナは機体に取り付けられたラダーを降りた。

リゾーナが格納庫を出て行く、それと行き違いにグラシア少佐と3人の男女が入ってくる。

「これが、スーパーシルフです」

ニーナは睨みつけるように来客3人を見た。

1人の女性の階級章を見ると”准将”だと分かる。

冷たく、冷酷な瞳がスーパーシルフを射抜く。

グラシア少佐は険しい顔でスーパーシルフを見ていた。

「・・・、特殊戦か」

ニーナはそう悟った。

新型機”スーパーシルフ”は優先的にある部隊へ配備される。

その部隊はひたすら情報を持ち帰る、という任務を与えられているらしい。

そのためなら、見方を犠牲にしても構わない・・・という至上命令。

そして、その部隊を率いるのは、今一目置かれている指揮官、リディア・クーリィ。

実戦部隊のオペレータ、後に出撃管理官、ちいさな中隊の中隊長の経験を積み、准将という階級まで上り詰めた女性である。

なんとなく、特殊戦のクーリィ准将の顔が”セクハラ上官”の顔に見えた気がした。

私を見る瞳が、セクハラ上官と似ているのだ。

顔つきや体格ではなく、何かもっと別のもので似ている。

でも、その”何か”がわからない。

ニーナは機体から降りなかった。

なんとなく准将に一発食らわせてやろうかと思ったが、なんとか我慢する。

准将を殴ってしまえば、初めて出会った”友人”から引き離されてしまうから。

右手を上げて敬礼し、作業をするフリをする。

「あっちの機体は何だ?」

前髪の長い東洋人が白嵐を指差して問う。

この東洋人はラフな私服姿だ。

「FFR‐31/RS”ブーリアシルフィード”です、深井少尉。
 スーパーシルフと双子機になります」

グラシア少佐がそこまで説明すると、少佐の階級をつけた金髪の男が「スーパーシルフと同じ”偵察”に主眼を置いた機体だが、違う点は自己防衛の為に格闘戦を行う事を前提にして造られた機体だということだ」と付け足し説明をする。

「まだ、一回しか出撃しておりませんが、なかなかの性能です」

「だが、格闘戦を行うため、アビオニクス面がかなり削られている」

「その通りです、少佐。削られた分は外付けのデバイスで調整が可能です」

ニーナは頬に傷のある少佐の瞳を見つめた。

吸い込まれるような青い瞳。

だけど、どこか迷いがある・・・気がする。

「・・・テスタロッサ少尉、ニーナ・テスタロッサ少尉?」

気が付けばグラシア少佐が呼んでいることにニーナは気が付いた。

「はっ!何でありましょうか、少佐殿」

声を張って返事する。

「明日、ここにいる深井少尉がD7、スーパーシルフでテスト飛行を行います、貴方はそのフライトオフィサとして搭乗してもらいます」

「リゾーナ・・・アルベルフ中尉はどうなさるのですか?」

「私が直々に乗ります。よろしくて?」

「・・・あまり気が乗りませんが、了解しました、ヤー」

「よろしい。明日は朝が早いですから、もう帰って休みなさい。私がやっておいてあげるから」

「ヤー」

そう言うとニーナは不本意ながら機を降りた。

・・・私に、得体の知れぬ男の後ろに乗れと?

馬鹿馬鹿しい。私は私の選んだ、そう、リゾーナの後ろの乗りたいのに。

そう顔で示すと、グラシア少佐が困ったように肩をすくめた。

「准将、深井少尉をお借りしてよろしいですか?」

にこやかな業務スマイルでグラシア少佐は准将に問う。

「構わない」

准将は腕を組みながら此方を射抜く。

「深井少尉、彼女が明日、貴方の後ろに乗るニーナ・テスタロッサ少尉です。
 ブーリアシルフィード・・・パーソナルネーム”白嵐”のフライトオフィサよ。
 得体の知れない女を後ろに乗せたくは無いでしょう?少し喋ってきなさい」

「・・・了解」

ぼそぼそと深井少尉は返答すると格納庫を出る。

ニーナも後を追った。

格納庫の上階にあるブリーフィングルーム。

適当な椅子に深井少尉は腰掛けた。

ニーナはコーヒーを淹れながら彼をまじまじと見た。

・・・まるで、クラリネットを始める前の自分みたいだと思った。

紙コップを深井少尉に差し出し、自分も椅子に腰掛ける。

「・・・はじめまして、明日フライトオフィサを勤めさせてもらうニーナ・テスタロッサ少尉と申します」

顔を引き締めてニーナは言った。

リゾーナとであったときのように、事務的な無表情でニーナは深井少尉を見る。

「・・・深井零少尉」

短く言う彼の瞳は美しい黒い瞳だった。

だけど、真っ暗、光が無かった。

「・・・すみませんが、少しお話をしたいんですけど、私も、得体の知れない人の後ろには乗りたくありませんから」

「・・・」

無表情。

「む・・・」

ニーナは唸ると話題を探す。

深井少尉が好みそうな話題は・・・なんだろう?

機体を熱心に見ていたから、やっぱりスーパーシルフや白嵐の事だろうか?

彼のような男が女に興味があるとは思えないから、やっぱり機体についてだろう。

「スーパーシルフ、どう思いますか?」

「・・・乗ってみなきゃ分からない」

「・・・リゾーナから・・・私の相棒から、貴方は白嵐のテストパイロット候補生だったと聞きますが?」

少し驚いた顔をする少尉。

知らされてなかったのか、深井少尉に。

「もしそうだったら、私が女房役だったかもしれませんね、少尉」

「・・・それがどうした」

「はぁ、少しは会話のネタを振ってくれ。私だけじゃ話題探すのに苦労するし、何より出会って数時間、いや、数分なのに、お前の趣味が分かるはずが無いでしょう」

「おれもあなたのことを知らない」

「当然でしょう?だから、相手が好みそうな話題を選んで、口に出すんだ。
 それに、男性は女性をエスコートするのが普通だろう」

無表情を崩さない少尉。

ニーナも同じだが、口調が砕けてきている。

だが、少尉へは敬語より此方のほうが喋りやすそうだとニーナは思った。

「おれはそんな事をする必要はないし、するつもりはない」

「するんだ、少尉。
 ずっと私にやらせてたんじゃ、シルフに嫌われるぞ?」

「?」

「私が、白嵐・・・ブーリアシルフィードに一回乗って思ったことだが――、彼女たちは、それぞれ個性を持ち、パイロットは親や先生になって、戦術を教え込んでいくんだ。
 ・・・私たち、シルフドライバーは教師なんだよ。
 あくまで私が思った感想、だが・・・、これは、グラシア少佐も言っていた事だ。
 システム構造上のことらしいが、ソレとは別に、感情があるように思えた・・・・まだ白嵐もスーパーシルフも赤子だがな」

機械に感情があるわけが無い、とついこの前の私は思っていた。

が、白嵐のログを見て考えが変わった。

だけど、確証がもてなかったけど、ニーナは口に出した。

「・・・」

深井少尉は無言でコーヒーを啜る。

「つまり、お前も教師の1人というわけだな。ただ・・・」

「・・・ただ?」

黒い、凍てつくような冷たい瞳がニーナを見つめる。

「・・・いや、なんでもない」



深井少尉は無表情に続きを促す。

少し興味が出たのだろうか?

「あまり、彼女たちに思い入れないほうがいいと思う・・・なんとなく危険な匂いがする」

ニーナはコーヒーに視線を落として、自信がなさそうに言った。

「心底自信がなさそうだな」

「・・・当たり前だ。・・・同じ階級とはいえ、お前は私の機長だからな。あまり確信が無い事を言いたくない」

「それがどうした」

「それがどうした、ではない。自分の命に関わる事だ。
 自分が死ねば、ジャムを殺せないだろう、恐らくお前はそのあたりに関心がありそうだ。
 ジャムとは何か、ジャムの狙いは何なのか、自分は何のためにいるのか、ジャムをどうやれば殺せるか・・・といった類だろう」

少し驚いた顔で深井少尉はニーナを見た。

ニーナはそんな彼を横目で見つつ、「・・・クールな戦士でも、分かりやすいタイプだな、お前は」と、呟く。

無口で冷静な戦士だが、”何を考えているかわからない”相手ではないので、とりあえずは――安心していいのだろうか。

ニーナはそう思った。

無口冷静といえば”何を考えているか分からない”者が多いから、彼はただ、自分の存在に疑問を抱いたりしただけなのではないか、と。

「まあ、それはつい先日ほど前の私も同じだが・・・」

ニーナはコーヒーを啜る。

「・・・おれは、何故こんな世界にいるんだ?」

深井少尉は少々躊躇いながら言った。

「・・・少しは話してくれそうだな、少尉」

すまし顔でニーナは言うと真剣な顔になる。

「決まっているだろう?少尉。
 ”運命”――デスティニーだ」

「運命?」

「ああ、そうだ。
 きっとこの世界で何かできることがあるから、ではないか?
 それとも――ジャムと戦うための戦士になるために、この世界にいるのではないか?
 私もよくわからないが・・・わたしはそうだと思う。戦士になるためにこの世界にいる」

「戦士・・・」

深井少尉は沈黙した。

「なるほどな」

ニーナはなんとなく、彼に対して”ひねくれた子供”という印象が残った。

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