空舞う妖精
文才の無いヒトが書いたダメ文章倉庫です。ちなみに書き途中で放棄されたものが殆ど。連載中は日記サイト。管理人の日記はリンクよりどうぞ。
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戦闘妖精・雪風 白い嵐 1話「嵐の”妖精”」
FFR‐31/RS”ブーリアシルフィード”。
嵐、風の妖精。
パーソナルネーム、”白嵐”。
FAF飛行試験センター特殊戦技第3飛行中隊。
システム軍団唯一の実戦部隊。
この機体は量産されることは無かった。
同期生産のFFR-31/MR”スーパーシルフ”がラインを取ったのだ。
だが、”嵐”はそれでも飛び続ける事が出来る、最強の翼だった。
*
「シルフィードの新型?」
「そう。」
オフィスで書類を整理しながら聞き返す。
「名前は、”ブーリアシルフィード”。」
「それが?」
「それが、じゃない。テストパイロット候補を回るのよ。」
上官のアリシア・グラシア少佐がきっぱりと言い放つ。
「私も?」
「そう。」
「ほんとうに?」
「当たり前よ、リゾーナ。」
リゾーナ・フォン・アルベルフ中尉は溜息をついた。
「で、そのテストパイロットって?」
「1人目の候補はシルフドライバーの深井零少尉。所属は、戦術戦闘航空団第1飛行隊。」
「フムン、男だか女だかよくわかんない名前ね。」
「全く。」
端末の画面を切り替える。
「次が――。」
「そんなにいるの?」
「ええ。」
ぽか~ん。
「まぁ、うん。」
「変だよ、少佐。」
「あははは。それで最後に、貴方。」
「何で私?大体私には――。」
「貴方も候補生。それ、ブーリアシルフの解説書。じっくり読んどいて。」
卓上に置いてある小冊子を指差す少佐。
「もんど無用、ってわけ?」
そういいながらリゾーナはその小冊子を取る。
ペラペラ捲る。
「へぇ。全部最新だね。私の機体と全然違う。」
あまり知られていない、格闘機、”ケリュケイオン”プロトタイプのテストパイロットであるリゾーナはそう思った。
ケリュケイオンより格闘戦に優れているし、電子機器もすごい。
「ブーリアシルフは、格闘戦術戦闘偵察機。」
「自己防衛のために、格闘戦?」
「そう、アビオニクス面も相当削ったのよ。だから、特殊戦は設計の段階からスーパーシルフをよこせとせっつくわ。」
「ふ~ん。」
「正直言って、良くここまで小さく出来たと思うわ。」
ぺらりとページを捲る。
「そして、音速を超えた唯一の機体。」
「え?」
「あくまでコンピュータの仮想世界での話しだけど。」
「そう。」
ぺらり。
「興味なさそうね。」
「当たり前じゃない。どうせ絶版機が好きな昇進できないパイロットよ。」
彼女は”ケリュケイオン”が好きであった。
「くいくい曲がる限のよさが好きなのよ。」
そう言ってリゾーナはいつも笑う。
「ケリュケイオンのテストは終わり。実戦配備決定。小規模だけど。」
「そう。」
「というわけで次の機体をゆっくり待ってなさい。やっぱりついてこなくていい。」
「了解。」
そう言って敬礼。
リゾーナは部屋を出た。
*
”ブーリアシルフ”搬入日。
D-6の位置jに置かれる。
そこに置かれていたFFR-36/F”ケリュケイオン”は予備機として上階の整備場へ。
「新D-6到着ね。」
FFR-41/RS”ブーリアシルフィード”を見上げ、少佐。
コールサインのDは”ダイト”のD。
”錬金鋼”の意だ。
「はぁ、何でこうなるのよ・・・。」
テストパイロットに決定した、リゾーナが言う。
傍らにはフライトオフィサのニーナ・テスタロッサ少尉が控えている。
「手が空いたのがたまたまリゾーナだったから。他の候補生はみんなダメだって。」
銀色の嵐。
銀が照明の光を受けて、白く見える。
「テストフライトは明日。ちゃんと休んでおきなさい。」
少佐はそう言うとさっさと格納庫から出て行ってしまった。
「大変ですね、中尉。」
「人事じゃないでしょ?」
「私は初めてこの隊に来ました、誰がどういう性格なのかまだ良くわかりません。」
テスタロッサ少尉は新たな自分の愛機を見上げる。
「まぁ、うん、そうだろうけど・・・。」
沈黙。
「あの、機上テストを行いたいのですが、許可をお願いします。」
仕事真面目な少尉殿だな、なんて思いながら彼女を見る。
「いいわよ、少尉。」
「ありがとうございます、フォン・アルベルフ中尉。」
テスタロッサ少尉はそう言うとさっさとボーティングラダーを下ろして、機上へと上がった。
*
その日、ブーリアシルフィードはファーンの部隊に混じって空を飛んでいた。
だが、ブーリアシルフィードは多少、ファーンより上を飛んでいる。
アビオニクス等のテストはリゾーナが乗る前に終了している。
つまり、”実戦評価”である。
これから先のリゾーナたちが挙げた戦果によってこの機体が実戦配備されるか、絶版となるかが決まる。
「そろそろジャム機と衝突します。」
後席オペレータ――フライトオフィサのテスタロッサ少尉が短く言う。
「了解、ファーンたちにも伝えて。」
「了解。・・・・・・こちらD‐6、ブーリアシルフ。ジャム機と交戦すると思われる空域に近づきました、戦闘準備を。」
『こちらアルファ-1、了解。』
ファーンたちのリーダが答える。
程なくしてその予想空域に到達。
交戦開始。
リゾーナはサイドスティックを握る右腕に少しだけ力を込める。
左へロール。
敵の射線を交わす。
「あら、結構食いつきいいのね。」
リゾーナは驚きつつ、機を操る。
インメルマンターン、ダイブ、引き起こし。
エンジンにものをいわせ、戦闘上昇。
敵を引き離し、ロール。
前方の敵を交わす。ロールして立て直し、上昇。
一つ一つの動作を確かめる。
ロール、バンク、敵の後ろに高速で食いつき、トリガーを引く。
前方で爆発、爆風を避けるようにロール。
「ジャム機が後ろにいます。回避、スターボード、ナウ。」
「了解。」
テスタロッサ少尉もモニタテストをしつつ情報と指示を出す。
「目標近づきます、ヘッドオン。」
「了解。」
敵の攻撃を何なりとかわし、トリガーを引く。
爆発。
ケリュケイオンより重量が重いということを感じさせない動き。
その名の如く、”嵐”なのだ。
「6時の方向に敵、標準波を感知、回避。」
「了解。」
エンジン出力を下げ、やり過ごし、後ろを取る。
ガンを叩き込み、再び上昇。
「あと一機です、前方、肉眼で確認できます。」
TDMが示す。
「もらい!」
ブーリアのガンが火を噴き、その直後、ジャムは爆散していた。
*
あとがき
雪風です、はい。
雪風の過去外伝だと思っていただければ。
ブーリアシルフの設定はやっつけです。
嵐、風の妖精。
パーソナルネーム、”白嵐”。
FAF飛行試験センター特殊戦技第3飛行中隊。
システム軍団唯一の実戦部隊。
この機体は量産されることは無かった。
同期生産のFFR-31/MR”スーパーシルフ”がラインを取ったのだ。
だが、”嵐”はそれでも飛び続ける事が出来る、最強の翼だった。
*
「シルフィードの新型?」
「そう。」
オフィスで書類を整理しながら聞き返す。
「名前は、”ブーリアシルフィード”。」
「それが?」
「それが、じゃない。テストパイロット候補を回るのよ。」
上官のアリシア・グラシア少佐がきっぱりと言い放つ。
「私も?」
「そう。」
「ほんとうに?」
「当たり前よ、リゾーナ。」
リゾーナ・フォン・アルベルフ中尉は溜息をついた。
「で、そのテストパイロットって?」
「1人目の候補はシルフドライバーの深井零少尉。所属は、戦術戦闘航空団第1飛行隊。」
「フムン、男だか女だかよくわかんない名前ね。」
「全く。」
端末の画面を切り替える。
「次が――。」
「そんなにいるの?」
「ええ。」
ぽか~ん。
「まぁ、うん。」
「変だよ、少佐。」
「あははは。それで最後に、貴方。」
「何で私?大体私には――。」
「貴方も候補生。それ、ブーリアシルフの解説書。じっくり読んどいて。」
卓上に置いてある小冊子を指差す少佐。
「もんど無用、ってわけ?」
そういいながらリゾーナはその小冊子を取る。
ペラペラ捲る。
「へぇ。全部最新だね。私の機体と全然違う。」
あまり知られていない、格闘機、”ケリュケイオン”プロトタイプのテストパイロットであるリゾーナはそう思った。
ケリュケイオンより格闘戦に優れているし、電子機器もすごい。
「ブーリアシルフは、格闘戦術戦闘偵察機。」
「自己防衛のために、格闘戦?」
「そう、アビオニクス面も相当削ったのよ。だから、特殊戦は設計の段階からスーパーシルフをよこせとせっつくわ。」
「ふ~ん。」
「正直言って、良くここまで小さく出来たと思うわ。」
ぺらりとページを捲る。
「そして、音速を超えた唯一の機体。」
「え?」
「あくまでコンピュータの仮想世界での話しだけど。」
「そう。」
ぺらり。
「興味なさそうね。」
「当たり前じゃない。どうせ絶版機が好きな昇進できないパイロットよ。」
彼女は”ケリュケイオン”が好きであった。
「くいくい曲がる限のよさが好きなのよ。」
そう言ってリゾーナはいつも笑う。
「ケリュケイオンのテストは終わり。実戦配備決定。小規模だけど。」
「そう。」
「というわけで次の機体をゆっくり待ってなさい。やっぱりついてこなくていい。」
「了解。」
そう言って敬礼。
リゾーナは部屋を出た。
*
”ブーリアシルフ”搬入日。
D-6の位置jに置かれる。
そこに置かれていたFFR-36/F”ケリュケイオン”は予備機として上階の整備場へ。
「新D-6到着ね。」
FFR-41/RS”ブーリアシルフィード”を見上げ、少佐。
コールサインのDは”ダイト”のD。
”錬金鋼”の意だ。
「はぁ、何でこうなるのよ・・・。」
テストパイロットに決定した、リゾーナが言う。
傍らにはフライトオフィサのニーナ・テスタロッサ少尉が控えている。
「手が空いたのがたまたまリゾーナだったから。他の候補生はみんなダメだって。」
銀色の嵐。
銀が照明の光を受けて、白く見える。
「テストフライトは明日。ちゃんと休んでおきなさい。」
少佐はそう言うとさっさと格納庫から出て行ってしまった。
「大変ですね、中尉。」
「人事じゃないでしょ?」
「私は初めてこの隊に来ました、誰がどういう性格なのかまだ良くわかりません。」
テスタロッサ少尉は新たな自分の愛機を見上げる。
「まぁ、うん、そうだろうけど・・・。」
沈黙。
「あの、機上テストを行いたいのですが、許可をお願いします。」
仕事真面目な少尉殿だな、なんて思いながら彼女を見る。
「いいわよ、少尉。」
「ありがとうございます、フォン・アルベルフ中尉。」
テスタロッサ少尉はそう言うとさっさとボーティングラダーを下ろして、機上へと上がった。
*
その日、ブーリアシルフィードはファーンの部隊に混じって空を飛んでいた。
だが、ブーリアシルフィードは多少、ファーンより上を飛んでいる。
アビオニクス等のテストはリゾーナが乗る前に終了している。
つまり、”実戦評価”である。
これから先のリゾーナたちが挙げた戦果によってこの機体が実戦配備されるか、絶版となるかが決まる。
「そろそろジャム機と衝突します。」
後席オペレータ――フライトオフィサのテスタロッサ少尉が短く言う。
「了解、ファーンたちにも伝えて。」
「了解。・・・・・・こちらD‐6、ブーリアシルフ。ジャム機と交戦すると思われる空域に近づきました、戦闘準備を。」
『こちらアルファ-1、了解。』
ファーンたちのリーダが答える。
程なくしてその予想空域に到達。
交戦開始。
リゾーナはサイドスティックを握る右腕に少しだけ力を込める。
左へロール。
敵の射線を交わす。
「あら、結構食いつきいいのね。」
リゾーナは驚きつつ、機を操る。
インメルマンターン、ダイブ、引き起こし。
エンジンにものをいわせ、戦闘上昇。
敵を引き離し、ロール。
前方の敵を交わす。ロールして立て直し、上昇。
一つ一つの動作を確かめる。
ロール、バンク、敵の後ろに高速で食いつき、トリガーを引く。
前方で爆発、爆風を避けるようにロール。
「ジャム機が後ろにいます。回避、スターボード、ナウ。」
「了解。」
テスタロッサ少尉もモニタテストをしつつ情報と指示を出す。
「目標近づきます、ヘッドオン。」
「了解。」
敵の攻撃を何なりとかわし、トリガーを引く。
爆発。
ケリュケイオンより重量が重いということを感じさせない動き。
その名の如く、”嵐”なのだ。
「6時の方向に敵、標準波を感知、回避。」
「了解。」
エンジン出力を下げ、やり過ごし、後ろを取る。
ガンを叩き込み、再び上昇。
「あと一機です、前方、肉眼で確認できます。」
TDMが示す。
「もらい!」
ブーリアのガンが火を噴き、その直後、ジャムは爆散していた。
*
あとがき
雪風です、はい。
雪風の過去外伝だと思っていただければ。
ブーリアシルフの設定はやっつけです。
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